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■ ヴィオリカの記憶 ■
 
『私ね、この丘が好き。一面に咲くこの花達が好き。
 ねぇ、覚えていてくれたら嬉しいな。
 こんなにも花の素敵な世界を。私のいた世界を。

 ――もしよかったら、私自身も。』

彼女は、唐突だった。
彼女は、寡黙だった。
彼女は、純粋だった。
そして――――彼女は、記憶の中の断片にしか存在しない。
 

 
Unit GrowSphereレーベル十一枚目、オリジナルアルバム第五弾は「ヴィオリカの記憶」
初めて「単一のテーマに沿ってアルバム全体を構成」した、コンセプトシリーズの第一弾です。
テーマは「記憶」。
事実か虚構か定かではない。記憶の狭間だけに存在する、少女ヴィオリカの肖像を描きました。
現実にあった出来事をかすかに織り交ぜながら、しかしその輪郭はあくまで不鮮明。
ヴィオリカとは何者なのか、彼女が送った人生とはどのようなものだったのか。
あたかも文字のない絵本の如く、その解釈は聴き手である貴方の内にあります。

 【トラック構成】
 Tr.01 Violica - somewhere -
見知らぬ何処か。懐かしくも、空虚な世界。
彼女に関する、最初の記憶。
 Tr.02 過程と仮定
断続する夢。並行世界。始まりと終わり。
『彼女』という共通項。けれど、どれも確信には至り得ない。
 Tr.03 逆さ海月が浮かぶ空
振り仰ぐ彼女の視線の先に、それらはいた。
地上に降りた星雲にも似た微かな輝きを、空色のキャンバスに散りばめている。
 Tr.04 シュレディンガー・モザイク
不確かな存在。僕はここで彼女を見た。
けれど、それは記憶の中でしかない。多重現実の幻。
 Tr.05 Violica - memoria at June, 1991 -
誰も彼女を知らない。けれど、記憶に残る彼女はあまりに鮮明で、
少なくともそれは僕にとっては夢などではなかった。
 Tr.06 天球儀と少女
『星が見たい』……彼女が口にした言葉。
その手には、小さな天球儀。仄かに瞬く南十字。
 Tr.07 スミレの咲く丘
淡い青空。降り注ぐ陽射し。流れる綿雲。
そして、咲き乱れるスミレの花達。それはきっと彼女自身で、恐らくは最後の記憶。
 Tr.08 対象世界が見る夢は
鏡の向こうの蜃気楼。遠い水面に咲く幻想。けれど、それはきっと何処かに存在する。
対称世界が、この世界を鏡の向こうに眺めるように。


【作曲・イラスト・設定・ジャケットデザイン】
諌月 呉霞 / Unit GrowSphere
【頒布価格】
500円

2006/10/9、秋M3にて発表しました。
 

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